AIで描いた漫画が「機械っぽく」見える原因と直し方|コマ割りを3〜5ページだけ崩す

連載している漫画『行政バグります!』の1話を、11月5日に作り直しました。ジャンプルーキーに出す前に、いちばん最初の1話を、いまの基準にそろえたかったからです。

『行政バグります!』は、梨ヶ坂市役所の地下にある「特務トレンド係」が、世の中の流行を行政に活かそうとして大騒ぎになる、1話完結のギャグ漫画です。作画は生成AIで、週2回連載しています。

私は、1話ごとに個別にカスタマイズするよりも、できる限り「一発で」漫画を作る方向に力を入れています。この記事も、その前提で書いています。

12ページの白黒を、21ページ・90コマのフルカラーにしました。ネーム(絵を描く前の設計図)も組み直しています。

同じ場面の Before / After:冒頭(左が旧版・白黒、右が新版・カラー)
同じ場面の Before / After:冒頭(左が旧版・白黒、右が新版・カラー)
同じ場面の Before / After:深夜0時の予約戦争
同じ場面の Before / After:深夜0時の予約戦争
同じ場面の Before / After:豪徳寺の決裁(十秒の刑)
同じ場面の Before / After:豪徳寺の決裁(十秒の刑)
Before:旧版の全ページ
Before:旧版の全ページ
After:新版の全21ページ
After:新版の全21ページ

この漫画の作り方(AIの使い方)

ざっくり言うと、「コマ割りは人(ネームツール)が決めて、絵はAIに1コマずつ描かせる」やり方です。

  • ネームツールで、ページのコマの大きさ・位置・セリフ・登場人物を決める
  • そのコマの縦横比に合わせて、AIに1コマずつ絵を描かせる
  • 描けた絵をツールでページに戻して、1ページずつ見直す

つまり、AIが描くのは「コマの中の絵」で、コマ割りそのものは自分で決めています。だから、コマ割りを「整いすぎ」にするのも、「わざと崩す」のも、自分で選べます。

作り直して気になったのは、コマ割りが「同じ形ばかり」だったこと

旧版を並べて見ると、同じ割り方のページが続いていました。P9〜P11は、どれも「右に縦長の大コマ、左に小コマを2つ積む」形です。一枚ずつ見ると迫力があるのに、3ページ並べると型がそろって、機械的に見えます。

Before:旧版 P9〜P11(同じ割り方が3ページ連続)
Before:旧版 P9〜P11(同じ割り方が3ページ連続)

私の体感では、AIで漫画を作ると、この「型がそろう」ことが起きやすいです。コマ割りが、均等で、端がそろった、整った形に寄っていきます。人が描いた漫画は、もう少しいびつです。

ネームの段階でも同じでした。旧版のネームは、3段が同じ高さで並んでいます。

旧版のネーム(3段が同じ高さ)
旧版のネーム(3段が同じ高さ)

対策:3〜5ページだけ、わざと崩した

そこで新しい1話では、1話のうち3〜5ページだけ、コマ割りをわざと整えませんでした。全部を崩すと、今度は「崩し方」が機械的になります。だから、ランダムに崩すのではなく、山のページと、感情を顔で見せるページに絞りました。崩すときのルールは次のとおりです。

  • 隣り合うコマの上辺・下辺を同じ高さにしない
  • 1ページに「大・中・小・極小」のコマを混ぜる
  • ページの下や横を、白いまま残していい(間・沈黙)
  • 崩したページを連続させない
AI臭を消すコマ割り 4つのやり方(NGとOKの比較)
AI臭を消すコマ割り 4つのやり方(NGとOKの比較)
新版21ページのコマ割り一覧。P14・P17・P19 が崩したページ
新版21ページのコマ割り一覧。P14・P17・P19 が崩したページ

崩したページ:P17〜P19

新版では、P17を崩し、P18は整えたページにして、P19をまた崩しました。崩したページのあとに、整えたページを置いています。

After:新版 P17〜P19(崩し → 整い → 崩し)
After:新版 P17〜P19(崩し → 整い → 崩し)
  • P17「譲渡って、だめなのか」:左の2コマを途中で止めて白を残し、右の縦長を長く突き出し、右下に小さな「当日ゆずります」の札を落とした
  • P18:整えたページ。崩したページのあとで、落ち着いて読める
  • P19:2頭身の言い訳を小さく落として、決裁印の大ゴマを目立たせた
  • P14:下の段を、右の中コマと左の小コマで高さをずらし、小コマの上に白を残した(誰もいない窓口の「シーン」)
同じ場面の Before / After:破裂の場面(旧版は窓口のクレーム、新版は崩したページ)
同じ場面の Before / After:破裂の場面(旧版は窓口のクレーム、新版は崩したページ)

最初の版では、崩したのが P17 の1ページだけで、あとの20ページは整った格子でした。1話に3〜5ページ崩す決まりにしていたので、P14・P19 を足して3ページにしました。

いまやっていないこと(と、教えてほしいこと)

私のやり方は、AIで自動生成して漫画を描くことに特化しています。ページごとに手で描き込んだり、個別にカスタマイズしたりする方針ではありません。だから、崩すといっても、いまは「コマの大きさ・位置・白」を変えるところまでです。

本当は、キャラがコマの枠を越えて描かれたり、余白や枠の外にまで乗り出したりするコマも入れたいです。そうすると、もっと漫画らしくなると思います。でも、そうなると、AIで描いたあとの修正がとても大変になりそうなので、いまは実装していません。

この考え方をクリアしている方がいたら、ぜひ教えてほしいです。

やってみてわかったこと

  • 「ランダムにする」より、「どこを崩すか」を決めるほうがAIで書いた感なくなる。山のページと、感情を顔で見せるページ
  • 崩しすぎると、散らかって読めない。読む順が迷わないことは崩さない
  • 崩した理由を一言ずつ書いておくと、あとで見直せる

おわりに

まだ「完璧に人が描いた漫画」にはなりません。でも、1話の入口をまず整えられたのは大きいと感じました。またコマ割りや、ネーム改善については、いま自分も納得してないところが、これ書いてても気づいてきたのでまた書きます。

この記事は、noteにも書いています。
https://note.com/tsubasatwi/n/na4115cbf6fea

『行政バグります!』は、次の場所で読めます。

この記事を書いた人

tsubasatwi( つばさ)

国立工業高専卒業(新居浜工業高等専門学校)
「イベント×IT×営業」のカスタマーサクセスマネージャーとして活躍。セールス→構築管理運用まで全体プロジェクト管理の豊富な経験あり。

・主にITに関するイベント集客/法人営業/開発を担当
・大手通信会社を中心にエンタープライズのIT導入を担当(B2B)

DMMで日本初の NoCodeサロン を運営
「NoCodeCamp プログラミングを使わないIT開発 」
https://lounge.dmm.com/detail/2549/