報告書を送って、5時間後。
ゲームを開いたら、さっき「分かりにくい」って書いた場面に、答えてくれる台詞が足されてた。早い。
いま僕は、池森さんが作ってるRPG「ルミナス・クロニクル」のテストプレイを手伝ってる。このゲーム、池森さんがAIに作らせてるんだよね。ってことは、僕が書いた報告書は、そのままAIへのプロンプトになる。
指摘を書く。数時間後、直ったゲームが届く。また遊んで、また書く。
これを1週間くり返してたら、ふと思った。
批判って、もう「評価」じゃないんだな、って。

前は、批判を「採点」だと思っていた
正直に言うと、僕は批判に強いタイプじゃなかった。
指摘されると、まず「この人が正しいのか、自分が間違ってるのか」って考える。言い返したくなる。でも、一理ある気もする。結局決められなくて、ぐるぐる悩む。
批判って、自分につけられた点数みたいなものだった。
今は、AIに入れるプロンプトに見える
AIを毎日使うようになって、ここが変わった。
「こうしたほうがいいよ」と言われたら、その言葉をそのままAIに放り込んで、作ってみる。
良かったら採用。だめなら捨てる。
相手に従う必要もないし、言い返す必要もない。入れて、試すだけ。

役割が3つに分かれた
こうなると、それぞれの役割がはっきりしてくる。
- 他の人は、僕じゃ思いつかないプロンプトをくれる人
- AIは、それを安く速く形にしてくれる道具
- 僕は、結果を見比べて決める人

大事なのは、最後の「決める」を手放してないこと。
全部の指摘を採用するわけじゃない。試して、比べて、だめなら戻す。それだけ。
この数日で、実際に変わったもの
漫画「行政バグります!」のコマ割り
ニコニコ漫画とかに上げたとき、読んでくれた人からコメントをもらった。
「30秒の早送りを見たよう」
「コマ割りがおかしい」
「叫んでばっかり」
わりと遠慮のない言葉が並んだ。
そのコメントをそのままAIに入れて、ネームを組み直してみた。
テツが2Dになるコマを入れて、コマ割りのパターンも増やした。同じ形のコマが並ぶページが減って、山場がちゃんと山場に見えるようになった。
「叫んでばっかり」のほうは、テツの吹き出しのこと。最近アップした回では、叫ぶ吹き出しがだいぶ減ったと思う。

上が第1話、下が最新の第12話。赤ペンは、直す前にイマイチだったところ。同じ大きさのコマを並べてたころから、山場をドンと大きく見せる割り方になった。
「行政バグります!」は、ここから読めるよ。
https://tsubasagit.github.io/gyosei-bug-reader/
そのコメントが、灰華にも効いた
おもしろいのは、このコメントが漫画の外にも効いたこと。
僕は「灰華 -HAIKA-」ってバンドの動画も作ってるんだけど、漫画のコメントを読んでたら、ふと灰華のサムネも見直したくなった。見てみたら、こっちも単調だった。
そこで、6th Album から、動画にアニメーションを入れてみた。

5th までは、1枚の絵を曲のあいだずっと見せてた。6th からは、絵が動く。

「灰華 -HAIKA-」の曲と動画は、ここから聴けるよ。
https://haikaband.com
ひとつの批判が、別の作品のプロンプトにもなったわけだ。
3つめは、FolderOS
FolderOSは、僕の会社で作ってる、フォルダを見る・探すためのアプリ。
使ってもらった人から返ってきたのは、こんな声だった。
「つながらない」
「APIの接続が、よくわからない」
作った側としては、手順は書いてあるつもりだった。でも、使う人はそこで止まってた。
この声もそのままAIに入れた。説明を足すんじゃなくて、自動でつながるようにした。

接続の手順を知らなくても使える。「たまに開く道具」から「毎日開く道具」に、ちょっと近づいたと思う。
なぜ、今になって変わったのか
これ、「前向きに考えよう」っていう心構えの話じゃないと思ってる。
変わったのは、試すのにかかる手間。
前は、指摘をひとつ試すのに何日もかかった。だから先に「その指摘って正しいの?」って話し合うしかなかった。
今は、AIに入れれば数分から数時間で形になる。話し合う前に、作って見比べられちゃう。

試すのが安くなると、批判の意味が変わる。
批判は、評価じゃない。もう、AIに入れるプロンプトだ。
だから最近、批判されるとちょっとうれしい。入れられるプロンプトが、ひとつ増えるから。
ルミナス・クロニクルのテストの話は、こっちにも書いたので、よかったらどうぞ。
なぜゲームテスターの僕が、開発者に「ネタバレ注意」と書いた報告書を送ったのか


