AIとの付き合い方が、少し変わってきました。
水泳で何度も息つぎをするように、細かく指示し直すのではなく、ぱっと伝えて、しばらく流れに任せる。最近はそんな感じで、AIと一緒に作っています。
ふだんは、生成AIで作画するギャグ漫画『行政バグります!』を週2回連載しています。
https://tsubasagit.github.io/gyosei-bug-reader/?src=tsubasatech
今回、それとはまったく違う、静かな読み切り『時計の止まった島』を描きました。フルカラーで30ページです。

なぜ、ギャグをやめたのか
ギャグは勢いで読ませられます。多少絵が揺れても、叫びとオチで押し切れる。
でも、それで人を描けているのか。笑い以外の気持ちを、AIと一緒に描けるのか。それを確かめたくて、ギャグに逃げられない話を選びました。
五十年、時計が止まったままの島に、新米の郵便配達人ミオが一通の手紙を届けに来る話です。受取人のおばあさんは、差出人の名前を見たとたん、扉を閉めてしまいます。
一貫性は、思ったほど苦労しなかった
始める前は、同じ人物や小物を描き続けられるかが、いちばんの心配でした。
実際には、設定画を作って渡せば、かなりそろいます。ずれても、どこがずれたかは見れば分かるし、頼めば直る。ここはもう、段取りの問題でした。
苦労したのは、人をどう描くか
大変だったのは、その先です。
ミオは、そのときどう感じたのか。おばあさんは、その手紙をどう受け止めたのか。
最初は、人物が気持ちを説明しすぎていました。読む人に分かるように、と思うほど、セリフが増えていく。説明を削って、ミオが自分で気づく形にするまで、何度も組み直しました。
表情も同じです。AIは「困った顔」「悲しい顔」は上手に描きます。でも、期待してしまった一瞬、言いすぎたと気づいた瞬間、受け止めきれずに笑ってしまう顔。こういう名前のつかない表情は、そのままでは出てきません。
おばあさんの受け止め方は、特に迷いました。はっきり言わせれば、分かりやすい。でもそれは、こちらが気持ちを決めてしまうことになる。最後は言葉を減らして、手の動きや、ミオが一歩下がって待つ間で見せることにしました。
気持ちは、決めない
作りながら、ミオという人物の芯がはっきりしてきました。
読めた事実は差し出す。でも、相手の気持ちは決めない。受け取るかどうかは、相手に返す。
これは、漫画の描き方そのものにも当てはまりました。登場人物の気持ちを、作り手が決めすぎない。読む人に、少しだけ任せる。
普段読んでいる漫画と比べて
仕上げの途中で、商業誌の新人読み切りを読みました。コマの大きさの変え方、セリフ回し、表情。何気なく読んでいた漫画に、人の感性がどれだけ入っているかが、よく分かりました。
『時計の止まった島』は、まだそこには届いていません。それでも、最低限の情景と気持ちは描けるところまで来たと思っています。
一貫性は、AIがかなり支えてくれる。どう表現するかは、まだ人の仕事。今回いちばんの収穫は、その線の位置が見えたことです。
本編『時計の止まった島』全30ページ
ここから最後まで、そのまま読めます。






























Webでも読めます
『時計の止まった島』フルカラー版は、Webで読めます。
https://tsubasagit.github.io/gyosei-bug-reader/yomikiri/tokei/?src=tsubasatech
ふだんのギャグ漫画『行政バグります!』は、こちらから。
https://tsubasagit.github.io/gyosei-bug-reader/?src=tsubasatech
※構成・セリフの検討と、作画・彩色に生成AIを使っています。
感想をいただけたら、うれしいです。
この記事は note にも載せています。
https://note.com/tsubasatwi/n/nc47e3e1d35fb


